4編収録の短編集。
ホームズ論、ポアロ論のメタ的2編で現実的な安楽椅子探偵事件2編をサンドイッチする形。著者自ら語る通りのレイドバック気味の作品群。消息が英語だとnewsなのは今回知ったがなかなかウィット。
ホームズもポアロもほとんど未読のため作中で繰り広げられる解釈・論証の妥当らしさはよく分からないが、2編各々予備知識が必要部分を除いても別個に見所を作るところは流石はプロ作家。「カーテンコール」は作中の登場人物のモデルを想像すると先の展開が読みやすくなってしまうが、これは明らかに狙ったことだろう。
4編の中で特に印象に残るのは「殺さぬ先の自首」。幻想的な謎に論理的な解決と不思議を結び付けた意欲作。