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京極夏彦 『鵼の碑』

鵼の碑
百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)最新作。
劇作家の久住の視点から始まる本作だが、シリーズ登場人物の再登場が非常に多く、ファンサービス要素がかなり強い作品。
勿論のように関口が巻き込まれ、京極堂が険しい顔をして、榎木津が騒ぐ。このシリーズ、刊行ペースは落ち続けているが作中の時間経過は緩やかであり、シンクロニシティの極みのような事件頻度である。

以下ネタバレ。















17年ぶり待望の新刊。
それでいて事件は現代においては起こりそうで起こらず、複数ある事象が薄っすら重なりそうで重ならず。
そこだけ切り取るといかにも地味な作品なのだが、単行本1273頁を充分に読ませる物語として成立させているのが流石というもの。
題名にある妖怪の伝承と様々な蘊蓄を以って、無理矢理や牽強付会をそう言わせないように構築させてきたのがこのシリーズのスタイル。
その究極の一つと捉えることもできるか。