書は言を尽くさず、

本読んだりしています

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

吉田修一 『初恋温泉』

温泉を訪れるカップルの姿を描くというコンセプトの短編小説集。 吉田修一の真髄は、日常を描き方にある。登場人物の何でもない挙動の描写から心理描写へと繋げていく様が巧妙である。 時折、その日常の中から鮮烈なもの、過激なものが飛び出すことがあり、…

古川日出男 『僕たちは歩かない』

山手線のどこかにある、もうひとつの東京を舞台とした、中篇ファンタジー。 東京で働くシェフたちが集結し、一つの目的に向けて突き進む姿が描かれる。 一途だが暑苦しくない、古川日出男流のクリスマス・イヴ。

白河三兎 『プールの底に眠る』

第42回メフィスト賞受賞作。

伊坂幸太郎 『終末のフール』

「あと8年で世界が終わる」という告知がされて5年後、3年間の猶予を前にした人間たちが描かれる。告知以後の動乱ではなく、ある程度落ち着いてきた状況での人々の挙動にスポットライトを当てているのは慧眼で、もとより伊坂幸太郎の作品に頻出する厭世的な人…