書は言を尽くさず、

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吉田修一 『初恋温泉』

温泉を訪れるカップルの姿を描くというコンセプトの短編小説集。
吉田修一の真髄は、日常を描き方にある。登場人物の何でもない挙動の描写から心理描写へと繋げていく様が巧妙である。
時折、その日常の中から鮮烈なもの、過激なものが飛び出すことがあり、自分はそれを非常に好むのだが、本作ではその傾向は控えめである。