2010-01-01から1年間の記事一覧
第31回メフィスト賞受賞作。
阪急電車のマイナーライン・今津線の宝塚―西宮北口間での車内および駅ホーム・周辺を主として展開される物語。停車駅ごとに章立てされ、各章の登場人物は奇麗に切り分けはされず交錯し、叙情的でハートウォーミングな物語を紡ぐ。 私事ながら、物語の舞台が…
著者はホラー・ミステリの融合体を成す点で有名だが、本作はまさにその一例。 登場人物であり探偵役である人物が「事象は白か黒か2つに割り切れるとは限らない」「ただし蓋然性の高い解釈をいくつか挙げることはできる」(いずれも意訳)といったことを述べ…
「永遠の生命を持った生徒がいる」という噂のある学園が舞台。 あるはずのない「不死」と、それに相反して起こる殺人事件。裏表紙にあるとおり独創的なハウダニットとワイダニットで、ネタバレできないまでも、この表現・手法には舌を巻いた。
8編収録の短編アンソロジー。参加作家は吉田修一、角田光代、石田衣良、甘糟りり子、林望、谷村志穂、片岡義男、川上弘美。
佐内正史が風景写真を撮り、吉田修一が写真からインスピレーションを得て小説を紡ぐ。各界の手練たちのコラボレーション。 こうした作品はバランス感覚が重要である。小説が写真の良さを殺してはいけない。ただ本作については、吉田修一は役割を十分果たして…
短編集。 古川節が濃い。登場人物の持つ「動く意志」や、視点人物の主観でしかない言語表現、それらすべてが古川節。本作を楽しめるかどうかは、この古川節を受け入れられるか否かに掛かっている。 収録3作のうちでは、表題作が最も強い印象を残す。行動の理…
三島由紀夫賞受賞作。
麻生久美子の役柄は普段演じないような新境地で、イメージの良い演技とは言えないものの、それはそれで演じ切ってしまう素晴らしさも見られる。 仲里依紗演じる娘の思春期の成長譚のような印象が強い。
オダギリジョーと、監督の三木聡含めおなじみの時効警察メンバー。 三浦友和の如何わしさを感じさせる演技が非常に良い。 中盤から主人公が描く擬似家族の風景は、じんわりとした感動を誘う。 こっそり三日月がゲスト出演。
麻生久美子と、監督の三木聡含めおなじみの時効警察メンバー。 風間杜夫の胡散臭さを感じさせる演技が非常に良い。 表題の着想と結末に至るまでの筋は、ちょっとした世界の転換。
原作・伊坂幸太郎。 本作の映像化が完全に成功かどうかは置いておいて、ボブ・ディランの楽曲をBGMとして表現できるのは強い。また、キャスティングとして瑛太は素晴らしい。
うすた京介原作の短編ギャグ漫画を、映画用の尺にアレンジすることに苦戦し迷走した感がある。特に、後半の話の主軸となるキム公関連が辛い。 妙にごついハミィと、そっくりな影千代先輩だけは見所。
第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作
ダーク・ファンタジー7編オムニバス。
浅田次郎選の短編アンソロジー。著者は浅田次郎の他、江國香織、北方謙三、吉田修一、阿刀田高、山田詠美、三島由紀夫。
短編9編と前後プロローグエピローグを収録した短編集。
いわゆる「ロス疑惑」を扱ったノンフィクション・ノベル。「マスコミ・サイドの視点」「三浦和義の視点」「裁判」の3章構成で、昭和の終盤にワイドショーを揺るがした疑惑の事件に迫る。
映画感想(同日)を参照。 細かい筋と宮崎あおいでは可愛いすぎて違和感があるということが理解できた。そしてビリーの好感度が更に高まる。
http://solanin-movie.jp/
浅野いにお作の漫画『ソラニン』の作中歌(漫画タイトルと同名)に対して、アジカンが作曲・編曲し息を吹き込んだ形。アジカンの良い部分は十分に出ている。 名盤『未だ見ぬ明日に』発の「ムスタング」が、映画のためにアレンジされ再収録。正直、こちらの方…
4編収録の短編集。
1997年の「本格ミステリベスト10」第一位に選ばれた一作。 宗教に似た概念が支配する世界。閉鎖的空間で起こる連続殺人。兄と弟。視点人物を駆り立てる誘因。物語を牽引する謎たちが、後悔に満ちた繊細で陰鬱とした文章で綴られる。前述の要素たちは、銘探偵…
よくある一家について流れた十数年の時に関して、短編集風にも思わせる形式でエピソード毎に章立てて綴られた一策。 表題となる「サクラ」はその一家の犬だが、常に話の中心に置かれるわけではない。一家にまつわる数々のエピソードを、事件に直面する家族た…
「荻原重化学工業シリーズ」というシリーズ名になってしまった、実質の安藤シリーズ第二部の第二作。