
御手洗シリーズ最新作。
京都の日本海側、伊根湾に出没するという龍神。石岡は喫茶店で知り合った女子大学生・麗羅からその龍神を見に行こうと誘われる。スウェーデンの御手洗からは伊根に行くことを断固反対されるが、麗羅に流されるままに伊根への旅路に着く。
島田荘司得意の挿話を駆使した作品だが、今回は挿話の比重が控えめで、物足りない感が正直残る。
石岡と麗羅が京都へのんびりと向かうパートは、おじいちゃんが孫と過ごす様を目的感なく描いたようなもので、石岡も島荘ももう老人なのだと痛感させるような面白みこそあるものの、冗長さが拭えない。過去パートをもっと詳細に充実させて、主要人物の徹底的な掘り下げがあった方が好みだった。