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貫井徳郎 『龍の墓』

龍の墓
「小説推理」連載作品の単行本化。
元警官で現在無職の男性がVRゲームの中の事件を解決に進める視点と、所轄の刑事が現実で発生した連続殺人事件を追う視点。二つが並行して描かれる。
時代設定は若干の近未来で、スマホに代わりVRゴーグルが一人一台レベルのガジェットとして浸透している時代。だがこの設定が味付け程度で必要性が薄かったり、捜査が順調に進んで長編にしてはあっさり解決したりと、いつもはありそうな一味・一捻りがないように感じる。
ゲームの中での「挑戦状」など本格ミステリとしての面白みはあり、昨今の貫井徳郎としては珍しい特徴ではあったので、何か突き詰め切れていないような惜しさを感じてしまう。