『後悔と真実の色』続編。
前作から主人公や捜査一課の登場人物らも引継いだ形で、時系列もほぼ地続きの続編。一応、前作を読まなくても楽しめるように独立した物語ではある。
主人公・西條が警察を辞めているため、警察サイドに所轄の刑事・高城理那を視点人物として置き、加えて連続殺人事件の犯人・渕上誠也も主な視点人物となる。よって警察小説と倒叙物の両方の特徴も持つ作品。
やや鬱陶しい生真面目さが生み出す重苦しさが、どの視点人物からも溢れ出す。しかし文章自体は相変わらずリーダビリティに優れており、結果読ませる。捜査と事件の応酬と複数の視点の絡ませ方も、飽きさせないような工夫であろう。貫井徳郎らしさが満載の作品。
そして以下、ネタバレ。
叙述トリックはその発覚とともに一気に作り物臭くなることで、昔は騙されただけでキャッキャしていたものだが、慣れてくると物語性との両立も求めたくなる。もともと叙述巧者な貫井徳郎のはずだが、どうも本作はそこのバランスが良くない。トリックありきになっているような、という印象。
とは言えトリックが無ければないでエンタメ寄りで直木賞狙いか、と感じるのも事実。我ながら口煩い。
