2016-08-13 貫井徳郎 『ドミノ倒し』 book とある田舎街での殺人事件を追う私立探偵が主人公。軽い文体で時折ジョークが混じるスラップスティック。著者としてはかなり冒険した雰囲気で、重苦しくありながら読み易さを意識する「いつもの貫井徳郎」ではない。 誤解を恐れず言うと、「頭が良いが馬鹿」な人が書くのが向いている作品を、「頭が良くて利口」な人が書いたような印象。やろうとしたスケールと貫井徳郎の芸風が上手くマッチングしていない。合わせようとして前述の文体にも無理をさせている。もっといい加減さと、ケレン味が欲しかった。