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『ifの世界線』

ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー (講談社タイガ)
歴史改変系SFアンソロジー。5篇が綴られる。参加作家は石川宗生、宮内悠介、斜線堂有紀、小川一水、伴名練。
各作家それぞれ、様々なSF手段での歴史改変を見せる。
見せ方・語り口として好みなのは宮内悠介。『盤上の夜』で見られたドキュメンタリーのような、俯瞰視点がよく馴染む。題材もSNSが過去存在したら、という仮定を糞真面目風に描くのが面白い。落とし所の意外性もあり。
題材として好みなのは伴名練。仮想空間上でジャンヌ・ダルクの人生における瀬戸際を二万回繰り返しシミュレーションさせるというスケール感。それを短編ネタで用いるスタンスも、大胆で惜しみがない。冗長にせず飽きさせない手法として素晴らしい。