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『NOVA 9 書き下ろし日本SF コレクション』

NOVA 9 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
書き下ろしSFアンソロジー。11作家12編を収録。参加は眉村卓浅暮三文斉藤直子田中啓文、森深紅、小林泰三、片瀬二郎、宮内悠介、木本雅彦、谷甲州扇智史大森望・編。
小林泰三の遺した作品をさらっていくシリーズ。という訳でSF系だが、SFは不勉強ゆえ浅暮三文小林泰三以外は読んだ記憶がない。田中啓文は、短編ならあるかもしれない。宮内悠介は、綾辻行人の対談集『シークレット』で興味を持ったところなのでちょうど良かった。
印象に残った作品の感想は以下。

浅暮:実験小説っぽさは相変わらずな作家。こうなると逆に、導入時以外の捻りがもう一つ欲しく感じる。
小林:個人的趣味を差し引いてもこの短編集で出色の出来栄え。設定はさることながら物語の構成にも狙いがある。
片瀬:『スリル』の名前は知っていた。変わったノベルスだった記憶。名前を「にろう」と呼ぶのは初めて知った。作品については唯一2編収録だがどちらもホラー色が濃厚。
宮内:会話は軽妙でありながら、思索と想像の徹底が見える作品。面白い。
扇:近未来的印象。青春小説に寄せていてリーダビリティが高い。

そして、大森望の編集後記と「序」は、好みが分かれるところであろう……。