20年後の自分と「意識・記憶」のみが入れ替わるというタイムリープもの。20年の隔たりがある二つの時系列が並行して描かれていく。過去の人格から見た場合、現在から20年後の未来側に向かい、その後20年前の現在へ過去に向けて記憶を持ち帰ることになる。その知識を用いた歴史改変や、それにより生じるタイムパラドックスなど、タイムリープものの定番概念も登場。
この複雑な状況に見舞われる主人公の困惑の感情を、中田永一流儀の過剰さがない淡々とした表現で綴っていくのが特徴的。ラストシーンの締めくくり方もまた、白乙一で素晴らしい。