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森博嗣 『読書の価値』

読書の価値 (NHK出版新書)
森博嗣実用書シリーズ。NHK出版からは著者初となる。
森博嗣と読書について、幼少期の原体験から始まり本の選び方や読み方、文章を書くこと、そして読書の未来なども語られる。
森博嗣は本を読むときに物凄く時間をかけるということは他の著書でも述べられており知っていたが、その一因として遠視が作用していることは初めて知る。なるほどと思いつつ、近視目線の視力検査が中心の当時の時代背景も感じる。
印象に残った点は2点。
1点目は、日本語の優れた部分。漢字と平仮名が入り交じっていて「視認性が高い。ちょっと見て何が書かれているのかを早く察することができる。」というもの。これはその通りだし、またそれにより速読というノウハウが日本語には発生しやすい土壌があるのかもしれない。
2点目は、森博嗣の文章の読み方、ものの考え方で、「文章を読んだとき、頭の中でその百倍以上はイメージしている。」という。論理についても「映像的な展開をする。」「座標であったり、幾何学的な空間、あるいは図面のような世界」。なかなか一般的とは言い難く、特に後者はまったく真似ができそうにないと感じる(真似しろとも森博嗣は言っていない)。脳髄の構造すら違うような気もする。