書は言を尽くさず、

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森博嗣 『もえない』

ずっと生きていると思うから、あまり深く関わりたくない、と心配をしてしまう。だから、冷たくあしらっていたかもしれない。その場かぎりで、二度と会わないという相手ならば、少しくらい親しい真似もできる。簡単なことだ。

視点人物は高校生。煮えきらず、感情を表に出さず、しかし内面では哲学的な思念を繰り返すタイプ。
森博嗣が得意とする人物描写であり、森フリークはすんなり感情移入できるだろう。
終盤のアクションシーンでは、これもお得意の短文連発。詳細な状況描写よりも緊迫感やスピーディーさを重視した書き様。
森博嗣が今備えている得意分野を組み合わせて、背伸びせず書いた作品のように思う。一定のクオリティを保つ秘訣か。