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貫井徳郎 『不等辺五角形』

不等辺五角形
紙魚の手帳』連載の単行本化。
インターナショナルスクールの幼馴染の男女5人。うち1人が海外赴任することを切っ掛けに、久方ぶりに別荘に集合した5人だが──。
発生する殺人事件は、早々に犯人の自白が得られる。現場に不審な点はなく、特に閉鎖環境にも置かれず、速やかに警察にて処置される。よって、ホワイダニット、犯人の動機が最大のフォーカスとなる。
弁護士による関係者へのインタビュー形式(実質は関係者の独白に近い)で物語は描かれる。複数の視点・主観による認識の相違がポイントだが、事件そのものよりもむしろ5人同士の関係性や他者の人となりの解釈が特に味噌となる。語り口調によるリーダビリティの高さで一気に読めてしまうが、何というべきか──もう一段落、もう一つ何か、荒ぶりが欲しいような感触を残す作品。
なお、最初の構想は5人ではなく4人だったというのは、興味深いエピソード*1