
15年ぶりの長編。ゴシック復興4部作*1と呼ばれる著者作品群の4作目。
令和の高校生と平成の高校生。父子関係にある2人それぞれの時系列が並行して描かれる。
過去の殺人事件と現代のサスペンス。奇矯な登場人物たちのドギツい言動のオンパレード。怪神と怪人、美少女、美術、バイオレンス。一風変わった青春を全編にわたって描きつつ、終盤での収束と結実。抒情詩。これぞ飛鳥部勝則。
何年経とうがこの人の作品は変わらぬ姿を見せ、それでいて現代的な味付けも今回含まれている。
ただ一点違和感はないが残念であるのは、自作の絵画がない点くらいだろうか。大半の作品に付される絵画には、決して作中の扱いはそうではないのだけれど、自画像のような雰囲気を持つ。変わらぬそれをまた令和にも眺めてみたいものだ。