綾辻行人とミステリ作家との京都での対談集。対談相手は、詠坂雄二、宮内悠介、初野晴、一肇、葉真中顕、前川裕、白井智之、織守きょうや、道尾秀介、辻村深月。
直球にミステリの創作について、互いの作品や他の作家の刺激を受けた作品を引き合いに出して語り合われる。ミステリの宿命としてネタバレにならない程度の深みで語り合うため、既読者には物足りず、未読者には曖昧模糊な印象になってしまっているのは仕方ないか。
これら作家のうち、自分が「読んでいる」、と言えるのは綾辻行人本人と初野晴。1〜3作程度にとどまるのが道尾秀介と辻村深月。葉真中顕と織守きょうやはアンソロジーで短編を読んだことがあるが、他は一切読んでいない。現代のミステリ作家シーンにはつくづく付いて行けてないなと感じる次第。
話が上がった中で、詠坂雄二『リロ・グラ・シスタ』、宮内悠介『盤上の夜』、一肇『少女キネマ』、前川裕『クリーピー』、道尾秀介『いけない』は少なくとも読んでみようと思った。知らない作家の対談を見て興味を示すのは自分的には珍しい。綾辻行人の作品に関する語り方が、所謂ミステリ研究会の仲間内のそれを思い起こさせるからかもしれない。人の楽しそうな様子は、共有したくなるし、混ざれないと悔しくもなる。そういうこと。