「三郎、おめえは自分のことを小説に書けや。おめえの小説がリアルじゃねえのはおめえが自分のこと書いてねえからや。小説読んでてもおめえがどんな奴なんか判らんからや。おめえは人のことばっかり書いてるであかんのや。自分のこと書け自分のこと。文章のテクニックで到達できるのなんて文学賞とかベストセラーぐれえやぞ。人の心本当に掴もうと思うたら自分のことリアルに書くんや。自分の大事なもん惜し気もなく切り売りしてまうんや。血とか汗とか魂の切れ端とか、文章になすりつけてまうんや」
再読。やはり大傑作だと思う。圧倒的な文体、惜し気もない展開。読んでいて純粋に楽しいってのは素晴らしい事だ。