第20回日本ホラー小説大賞読者賞受賞作。第19回から創設された「読者賞」は、一般モニター審査員の評価により決まるとのこと。
心理描写も状況描写もあっさりめに抑えて、リーダビリティを重視。特に前半はその傾向が強く、サクサクと物語が転がり進む。流石は劇団主宰・放送作家・シナリオライター。展開の早さは素晴らしいが、ホラーの魅力は描写力にあると考える自分としては、つまらない。
中盤、二人の事業が傾き始める頃から、超常現象と浮気関連を中心に描写は増えていく。が、導入が導入だけに乗り切れなかったという感触。
「起承」の重要さを悪い意味で感じさせる作品。が、何にせよぬるい展開のままで終わらなかった点は安心した。