中田永一と中村航の合作。
高校の文芸部に巻き込まれ入部した主人公が廃部の危機に立ち向かわされるという学園小説かつボーイミーツガール要素のある青春小説。心理的機微の描写など流石は中田永一と中村航だが、プロット面でもう一捻り欲しく感じる。中田永一ゆえに。これは合作の限界かもしれない。
本作は単純な合作という特徴の他に、芝浦工業大学製作の「ものがたりソフト」なる小説創作支援ソフトの活用という独特さがある。あらすじ、キャラクター、シーンをインプットすることで物語の設計図が生成されるらしい。
WEB上のインタビュー等を見るに、ソフトへのインプットは、キャラクターは中村航、シーン等のプロットは中田永一とのこと。実際の執筆は10枚ごとに交代して行うバトン形式らしいが、この展開は中田永一にしては珍しい…という部分は中村航がやはり描いていたり、中々予想通りで面白い。自分自身は中村航の理解は浅いが、それでも何となく分かるものである。なお、文章は平易で、繋ぎ目はまず分からない。これは流石。
また、プロ作家が「創作」の苦しみ自体を直球で題材として扱った作品であり、ワナビーにも一読の価値ありと感じる。
※インタビュー等
https://ddnavi.com/news/212515/a/
https://kadobun.jp/talks/11