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麻耶雄嵩 『メルカトル悪人狩り』

メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)
8編収録の短編集。
銘探偵メルカトル鮎シリーズ。
長編に向かない銘探偵メルカトル鮎だけあって短編での活躍は縦横無尽というか、単に解決させるだけではなく+αの趣きがあることが楽しい。
「不要不急」はコロナ禍で描かれたショートショートのような掌編。発表された時系列的には最後にあたるがこの短編集の中では間に挟まって意味を感じさせるのが面白い。
所謂後期クイーン的問題を連想させる状況や真相が多い短編集だが、「囁くもの」「メルカトル・ナイト」「天女五衰」「メルカトル式捜査法」の4つの短編は、特にその傾向が強い。特に「メルカトル式捜査法」の謎解き過程についてはオリジナリティを強く感じさせて面白い。こういうことをさらっと短編でやり遂げる麻耶雄嵩の力量とセンスに惚れ惚れする、