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島田荘司 笠井潔 『日本型悪平等起源論―「もの言わぬ民」の深層を推理する』

日本型悪平等起源論―「もの言わぬ民」の深層を推理する (カッパ・サイエンス)
島田荘司笠井潔の対談集。
上に媚びへつらい、下に厳しい日本人。縄文・弥生時代まで遡りその起源を探る。
島田荘司のお得意の日本人論について笠井潔も大所は同意するものであり、侃侃諤諤とはならずお互いの主張を尊重しながらのやりとりが続く。島荘の主張は今までの小説やエッセイでも窺えるものであり食傷気味だが、笠井潔の持って来る内容は流石評論家という印象。ただ対談集の弱点というか、一冊の中でも繰り返し同じような主張がされてまとまりが不十分なのが辛いところ。
話題として面白かったのは、縄文=狩猟・共生、弥生=農耕・蓄財。縄文は山人・海人のルーツであり南北朝時代楠木正成に繋がるという話。
やり取りとして面白かったのは、笠井潔島田荘司の女性論については深く言及せずにスルー、極端な意見(首相公選等の何かを変えること)には慎重な意見を唱えている冷静さ。