6編収録の連作短編集。
恋愛もの、出会いに関する短編数珠繋ぎ。本人解説で自ら恋愛ものにはあまり興味がないと語り、著者として「苦手」「珍しい」と強調しているが、読者としてはあまり不得手なイメージがない（自分だけかもしれないが）。本作で言うと、織田夫妻のような仕上がったカップルはよく伊坂作品で見る気がするからだろうか。また、自分が伊坂作品に殺し屋、泥棒、超能力などを求めていない、というのもあるのだろう。
とはいえ伊坂作品として確かに「珍しい」感じなのは、衝撃は小さめに、全体的にソフトな印象で物語が閉じること。逆に読み手が勘繰って色々読み返して裏を探そうとする。そうした副次効果はある作品。
