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書は言を尽くさず、

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貫井徳郎 『北天の馬たち』

book

北天の馬たち (単行本)
「小説野生時代」連載作品。
馬車道通りの貸し事務所で探偵業を営む2人組の男と、その事務所の1階の喫茶店でマスターを務める主人公の物語。
この作品、貫井徳郎の作品の中では比較的軽い空気成分となっている。とはいえ、一般的にはそう軽いものでもない。あくまで貫井徳郎としては、という判断基準である。
登場人物の、特に2人組探偵について「感じの良さ」「格好良さ」が何度となく強調されるが、どうも主人公にそれを印象として語らせることが多く、響かない。(『NARUTO』でいうところの「大した奴だ…」みたいなもの)
侠気を見せるエピソードなども描かれるのだが、これも貫井徳郎らしい平凡さで、意表を付くものではない。ケレン味不足というべきか。リアリティはあるが小説としての説得力に欠けているというか。向き不向きというものを強く感じさせる。
貫井のどうしようもない重苦しさを含んだ大作を読んできた身としては、本作はエピソード的にもインパクトに欠ける。結末も急ぎすぎだったり、尻つぼみな描写も見られる。連載ゆえの「次回への引き」が結果行き当たりばったりになってしまっているのだろうか。
ただ、近年の作品に多い「どうにもこうにも直木賞が獲りたい」という思いは本作からは感じられず、そういう意味での「軽さ」は読みやすさに繋がっているかと思う。