書は言を尽くさず、

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白河三兎 『冬の朝、そっと担任を突き落とす』

冬の朝、そっと担任を突き落とす (新潮文庫)
とある高校教師が投身自殺した。その教師が担任を務めていたクラスに転校してきた女子。彼女が発した純粋な疑問は、クラスに大きな波紋を生じさせる……。
複数の視点から迫る事件の真相。瑞々しさと小賢しさが同居する、なんとも苦々しい青春小説。このスクールカーストの描写にリアリティがあるのかは分からない。
真相は敢えてぼんやりさせているが、はっきり書かなくとも充分想像できるようになった……もっと言うとありきたりな内容と感じるようになったのは、時代の流れというものだろう(数十年前に書かれていたら、この分野への理解不足ゆえ、もっとはっきりと示していたのでは)。
同著者の他作品の登場人物も登場し、エピソードワン的な位置付けになっているようだ。こうしたファンサービスはあまりない作家だと思っていたので意外。