書は言を尽くさず、

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吉田修一 『悪人』

大佛次郎賞と毎日出版文化賞を受賞した上下巻の作品だが、文章は平易でテーマも難解でなく、敷居は低いと思われる。
出会い系サイトで知り合った男女。土木作業という職場。パーツの一つ一つは、吉田修一の小説においてよく見られる要素である。着目すべきは、テーマなのか。多く語ることはしないが、すべてタイトルに集約されているとしか言いようがない。
劇的な展開も派手な表現も少ないが、局所的に凝った描写をしたり一風変った比喩を持ち出す点が吉田修一らしい。