書は言を尽くさず、

本読んだりしています

早坂吝 『四元館の殺人』

四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫)
探偵AIシリーズ第三弾。
本格ミステリとAIという最先端技術の融合を見せるこのシリーズ。前作までの探偵AIと犯人IAの対立軸を継続しつつ、今回の舞台は山奥の館、設計者は一風変わった建築家、富豪の遺産争い、閉鎖状態の発生などなど、古式ゆかしい館物の本格ミステリの様相。
あからさまなネタバレにならない程度に配慮すると、本作突拍子もないトリックの類と思われるが、ギリギリの作中設定・理論で成立させる綱渡りさがある。かつ技術面で現実でも100%不可能とは言えなさそうな点がポイント。この破天荒さがいかにも新本格ミステリという感じで面白い。