全編、島田荘司と綾辻行人の対談。
本格ミステリー論を中心に、トリック、文体、幻想性、社会派と本格等々の小説に関する話題に加え、両者の出会い、趣味など他活動、ミステリ研、他の新本格作家たち等々の話題についても幅広く語られる。
本格ミステリー論について、二つの軸の分類に対して他次元の要素を組み込もうとする島田と、インテリゆえに相手の主張の無理筋を堪え切れない綾辻。両者のすれ違いは深刻なもので、なかなか折り合いが付かない様は心配になるほどである。どちらかというと島田が頑なすぎるというか、特異な印象論を理屈付けたがっているような気もするが…。尚それ以外の話題なら、二人は仲良さそうなことこの上ない。
なお、島田のお馴染み「厳しい女性観」(綾辻の表現)・日本人論も頻繁に見られる作品である。「これが日本なんですね」…個人的に昔から好きな島荘ワードなのだが、ここが初出なのだろうか。