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吉田修一 『青春 コレクションI』

青春 コレクションI (Shuichi Yoshidaコレクション)
愛蔵版。吉田修一の「青春」に関する作品集。
最後の息子』『熱帯魚』『キャンセルされた街の案内』から抜粋の数編と、『初恋温泉』『日曜日たち』『パレード』丸々、単行本未収録の雑誌掲載作「紙吹雪」「命綱」「一途」、書き下ろしの「自伝小説I」を収録。
単行本未収録の作品群についての感想。「紙吹雪」「命綱」「一途」は、共通の登場人物を持ち時系列も「のりしろ」がある数珠繋ぎの短編群。日常と青春を描く吉田修一の得意分野。なお吉田修一作品にお馴染みのゲイに加えレズも登場し、LGBT支援活動についても少しだが描写があるのが印象的。
「自伝小説I」は、吉田修一本人の幼少期が語られる。長崎で生まれ育ったのは知っていたが、随分興味深い家庭環境だったようだ。読み取れる事実だけ書くと、本名は秀一。4人家族で2歳下の弟・秀二と2人兄弟。本人も後々知ったのは、親戚に任侠小説の作家がおり(故人)、うち一作が渡哲也主演で映画化されたという。作家名も作品名も明示されてはいない。他のエピソードは直接お楽しみいただいた方が良いかと。