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『井上雄彦 最後のマンガ展』*1

この展は絵画展ではない。まさにマンガ展である。


ただ「絵画」を飾り続けるだけではなく、そこに連続する「物語」が存在する。
加えて、平面的な世界に閉じたマンガとも一線を画し、空間を意識して構成することにより、「上野の森美術館」そのものをあたかも一個の「物語」と化している。


ネタバレ防止のため詳述はしないが、『バガボンド』の番外編として立派に成立する「物語」である。


無論一枚一枚の絵の完成度は非常に高いが、井上雄彦の画力は既に認めるところである。
デッサンへの拘り、筆とペンの使い分け等、絵師としては最早完成された域に達するように思う。


今回はむしろ、漫画家として必要なネームも含めた物語の展開力・構成力を見せようとした展示会であったように思う。