森見登美彦の小説『四畳半神話大系』と上田誠の舞台演劇『サマータイムマシン・ブルース』のコラボレーション。
両者は同い年で、『四畳半〜』『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』のアニメ脚本を上田が担当しているという縁もある。
なかなかに珍しい、分野が違うモノ同士のコラボ。どのような組み合わせ方になるか注目点だが、結果は大筋のストーリーは『サマー〜』で、登場人物を『四畳半〜』で置き換えた形。どちらかと言うと、キャラクターと文体がやはり強いので『四畳半〜』寄りの印象になる。
舞台装置はそれぞれ持ち寄っており、両原作を知っているとなお面白みが増す。『四畳半〜』はここ数年で小説の再読とアニメ鑑賞を済ませていたので記憶が新しかったが、『サマー〜』は瑛太と上野樹里の映画を15年前に観たきり。本作の読了前に改めて映画を観直しておいて良かったと思う。
どこでどう『四畳半〜』『サマー〜』の要素が組み合わさるかは未読者の楽しみを削ぐので詳述しない。が、両原作はもともと並行世界の要素があり(パラレルワールドとタイムトラベルで表現方法は全然違うが)、この辺りの親和性を活かしたリミックスが楽しい物語だと思う。