連作短編集。
「魔女」と「魔法」の存在により主要人物の倫理観が狂っているのだが、それらを存知していない一般人についても現代の我々のような感覚が通じそうも無い。正直言うと、最初は理不尽で滑稽なだけの腑に落ちない展開が続く。
しかし、「魔法少女粉と煙」あたりから様子が変わる。相変わらず不条理を振りまきながらも、道理を語るような場面が増える。グロテスクさも一つの特徴だが、それは表層的な迷彩に過ぎず、目的は「道理」の表現なのかもしれない。
結局はなんだか解らない部分も多いが、なにかを解った気にもさせる。特殊な作品だと思う。
最初2編あたりで読むのをやめていたら後悔していた。我慢して読み通すことを推奨する。