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岩城裕明 『呪いに首はありますか』

呪いに首はありますか
30歳の誕生日に死ぬという、久那納家の長男に代々受け継がれる呪い。恵介は自らに降りかかる予定の呪いを解消する為、「心霊科医」を名乗り、ワクチンとなり得る悪霊探しを続ける。
連作短編に似た形式で、医院に相談に来る人々の周囲にいる悪霊を探すエピソードが複数綴られる。グロテスクもあれば心情に訴えるものもあり、著者の引き出しを色々と見ることができる。
だが、あまりキャラクターを前面に押し出さない作りで、設定面はともかくキャラ面でシリーズ化するにはどうかと感じた所で物語の終盤。恵介の運命にかかる進展が見られる。この辺りの書き様は流石というもの。この結末がなければ、少し薄目のホラー短編集という印象で終わっていたであろう。