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北見嵩史 『出航』

出航
横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。この回より、日本ホラー小説大賞横溝正史ミステリ大賞が統合。
母が突然に失踪。主人公の大学生は後を追い、行き着いた北海道の鉄道も路線バスも通らぬ田舎町で、未知なるおぞましいモノと遭遇する。
ミステリ&ホラーのどちら寄りかと言われると迷いなく相当にホラー。スプラッタとグロテスクな表現が頻出し、異形のモノも「設定」という意味合いの種明かしとなる類。
血で血を洗うような展開となるが、陰惨さよりはユーモアに近い雰囲気を含むのが不思議な感触。文章面というよりは、様々な荒唐無稽さによるところか。描写の匙加減を巧いことすると、小林泰三の後継のようにもなるかもしれないが。次回作も読んでみる気には、今のところなっている。