書は言を尽くさず、

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白河三兎 『ふたえ』

ふたえ
修学旅行の班分けで余り物が集まった「ぼっち班」。個性的な転校生の手代木麗華を中心に、修学旅行の舞台で起こる様々な出来事。
これぞメフィスト賞とでも言うべき、自意識とミステリの結集体。著者は講談社ノベルスの枠からはとうの昔に抜け出しているが、当初より一貫して青春小説のような繊細さ・機微を描き続けている。本作もその特徴に変わりはないものの、ややミステリ的な試み・企みを含んでおり、ルーツはメフィスト賞にありという感じで何とも微笑ましい。
好みは別れるところであろうが、こういう作品に反応してしまう単純さが自分にはあるので、非常に満足という感想になる。