書は言を尽くさず、

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山田正紀 『人間競馬 悪魔のギャンブル』

人間競馬  悪魔のギャンブル (角川ホラー文庫)
山田正紀の鳥瞰的な癖が強く出ている作品。
4人の人間の交錯する殺意を「競馬」に見立て、ギャンブルとして愉しむガーゴイル。そのガーゴイルはさながら神の視点だが、物語展開はむしろ4人の人間の視点が中心。登場人物の心理描写は少なくないが、挿入される状況描写の方が多く、感情移入を阻害しているようにしか思えない。
著者の作品を久々に読んだが、相性は良くないのだと思う。辿り着いた結末の後味の悪さは嫌いではないが。