書は言を尽くさず、

本読んだりしています

雀野日名子 『週末の鳥人間』

週末の鳥人間
終末の鳥人間』のリメイク。
俊晴ら登場人物は『終末』と変わらないが、アヤちゃんが話せるようになっていたりと微妙に設定は異なる。
大きく異なるのは物語の展開で、まさに終末と言うべき非常事態の極みのような状況と比べ、様々な週末に現実的な問題への直面が描かれる。前作の閉塞感は複数要因からなるものだったが、本作ではその要因を絞って単純化したような印象。絞った結果残った「閉鎖的なムラ社会」というワードは著者の十八番というべきもので、見事に得も言われぬ読後感を覚えさせる。
が、好みとしては『終末』のカオス度合いに軍配が上がる。ラストシーンや登場人物の顛末などを比べてみると、どうか。明らかに平和なはずの本作の方が、解放感からほど遠い情況。やはり現実は渋い、ということか。