書は言を尽くさず、

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中田永一 『くちびるに歌を』

くちびるに歌を (小学館文庫)
書き下ろし作品。
長崎県五島列島の中学校合唱部を舞台とする青春小説。
見事な白○○というもので、内向的な少年の心理描写や、対比として描かれる活発な男子や女子の姿など、著者の別名義での名作を思い起こさせる要素が多数ある。
合唱コンクールの課題曲でもある「手紙」が重要なファクターとなる。各章の始まりに添えられる登場人物の「手紙」は、物語の過去・現在・未来を掘り下げて世界設定を広げる役割を果たしている。
流石は小説製造マシーン。得意分野の作品で実力を見せ付けている。