6編から成る連作短編集。
「ゆうびん小説」なる企画ものの小説であり、抽選50名限定で読者に直接郵便で届けられる方式で全5編が発表された。本書は書き下ろしの1編を加え、短編集として刊行されたもの。
太宰治『グッド・バイ』へのオマージュということで、その設定を活用している模様。自分は未読だが、今回本作を通して非常に興味が沸き、読んでみたいと感じる。本書は、そう思わせるほどに小気味良くまとめた良作。
(ただ、『グッド・バイ』の方を読んでみたら伊坂ほど楽しめないのだろうな、と予測をつけている自分もいる)
巻末のインタビューで著者が「連作短編集ものは好んで書かない」というニュアンスの発言をしており、確かに思い返すと長編が多い作家だと感じたが、この通り良い落としどころにまとめて余韻も残す点は流石だと思う。