書は言を尽くさず、

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浦賀和宏 『彼女のため生まれた』

彼女のため生まれた (幻冬舎文庫)
桑原銀次郎シリーズ(「彼女の〜」もの)二作目。
前作『彼女の血が溶けてゆく』続編。著者がこうした比較的現実味がある(?)作品をシリーズ化するのは初めて?
主人公・銀次郎の母親が殺害される事件が発生。濡れ衣を着せられた銀次郎は、本職とするフリーライターとしてのノウハウを活かし真相に迫る。
ちょっと繰り返しの多い文章がやや作品を冗長化している気がするが、描写の丁寧さの裏返しでもある。他シリーズではトンでも設定に引っ張られて見落とされがちだが、こうした丁寧さは浦賀和宏の特色。
終盤の急展開、真相のアクロバット等、盛り上げ要素は堅実な良作。安藤シリーズや松浦純菜シリーズに比べると物足りないとか言ったら、良い加減怒られそう。