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三津田信三 『山魔の如き嗤うもの』

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)
刀城言耶シリーズ第四長編。
「ホラーと本格ミステリの融合」に挑戦する著者。この作品も御多分に漏れず、ホラーと本格ミステリの両方の特徴を持つ。
同シリーズの『厭魅』『首無』と比較すると、シリーズに共通する民俗学的要素の扱いが浅く、ホラー要素と連続する殺人事件によってのみ物語を牽引している印象がある。ただその半面で、リーダビリティは上がっているように思う。
本格ミステリ・ベスト10」二〇〇九年版で第一位に輝いただけあって、結末や其れに至る伏線回収は流石に凝っている。ただし、『厭魅』『首無』より、良くも悪くも「よくあるミステリ」に収まっている感はある。