伊坂幸太郎 『グラスホッパー』

伊坂幸太郎にしては珍しい、ハードボイルド要素の強い作品で、重厚さを持たせるためか、普段の伊坂作品に見られる気取りや洒落た言い回しは「比較的」控えめである。しかし、あくまで控えめなだけであり、その伊坂風の感性が明確に残っていることは間違いない。その個性が、自分としては中途半端に感じられた。特に終盤など、伊坂節まっしぐらである。
とはいえ、３名の視点人物が各々の何かに捉われて行動していく様は読み応えがある。