書は言を尽くさず、

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貫井徳郎 『愚行録』

愚行録
慶應(日吉キャンパス)のかた、読んでほしいなぁ。ほんまかいなと。
ミステリ専門誌『ミステリーズ!』連載作品。
一家惨殺事件の真相を、被害者夫婦の知人へのインタビューによって迫る。
インタビューという「他者から印象」を用いて被害者夫婦の人物像を徹底的に浮き彫りにする。形式こそ違えど、人間の抱える暗闇・多面性をテーマとする点で著者の『プリズム』と共通性があると思う。ミッシングリンクに近く、最終的に被害者夫婦、インタビュアー、冒頭記事の三つが結び付けられる辺りのツイストが面白い。こてこてのミステリファンには物足りない面はあるかもしれないが、これは良作。