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乙一 『小説 シライサン』

小説 シライサン (角川文庫)
監督・脚本を安達寛高乙一本人)が務める同名映画の原作。
古くから口伝される怪談。それを聞いた者は、両目の眼球が破裂し死に至るという。親友を目の前で亡くした女子大生・瑞紀と、同じく弟を失った春男の二人は、死の真相に迫るうちにその怪談を聞き、呪いに捉われてしまう。
あっさり目の文体と抑えの効いた心理描写は、いかにも映画のノベライズらしく思えるが、乙一がもともとシンプルな描写をしがちなので平常運転と言える。
若干不透明なまま、余韻を引くような幕の閉じ方。乙一が本領発揮したホラーミステリー