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野崎まど 『タイタン』

タイタン
西暦2205年、AIの進化により人が「仕事」を一切する必要がなくなった世界を舞台とするSF作品。
AI技術の進化・発展がいくところまでいってしまったら、という思考実験の末に作られたような小説。
視点人物は家事を含めた「仕事」というものをしたことがない。一方でAIは「仕事」しかしたことがない。現実味がある設定かどうかは、「仕事」が当たり前に存在する世界の自分からは判断が難しい。
大掛かりな舞台設定と物語の起伏、加速する展開、そしてもっともらしい真相と結論。この設定下ならでは、という登場人物の思考。物語としての結びも面白い。総合的なエンターテイメント性の高さは、流石野崎まど。