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西尾維新 『ヴェールドマン仮説』

ヴェールドマン仮説
仮説シリーズと名付けられた新シリーズ第一弾。
主人公は、何らかの分野で特筆すべき成果を残す8人の家族に囲まれて暮らす無職の青年。普段は家事一般を引き受けているが、ふとしかきっかけで連続殺人事件の謎を追うことになる。
あとがきにて著者より、コンプレックスが一切ない「ぼく」を主人公にしたとのことだが、なかなか小説上では捉えどころのない人格である。普通を装いながらも家族と比べればというレベルであり、行動力も思考力もワトソン前提だと高い方。家族も個性的ながら、空想科学的な設定はなく西尾維新としては比較的地に足が着いた描写。
内容もミッシングリンクもののミステリと言って遜色ないものであり、一つのミステリシリーズが立ち上がりつつあると考えてもいいのかもしれない。
なお本作が西尾維新の100作目の小説とのこと。巻末には100作のリストが載っているが、途中で読むのを一時停止したものや(物語シリーズ)、シリーズ単位で未読のものもある(刀語掟上今日子、美少年)。いずれ追いかけたいものである。