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佐藤友哉 『俳優探偵 僕と舞台と輝くあいつ』

俳優探偵 僕と舞台と輝くあいつ (角川文庫)
「小説屋sari-sari」連載作品を収録した3編の連作短編集。
主人公は2.5次元舞台を主戦場とする売れない若手俳優ムギ。関与する舞台、オーディションなどで事件が発生し、彼は自ずと探偵のような調査を始めるようになる…。
くすぶりもがく若者を著者に描かせるとあいも変わらずパフォーマンスは高い。過大な自意識・焦燥感・周囲への攻撃性、そして一歩を進める勇気などなど。これらリアルな情動の表現はお家芸とも言える。
あまりにユヤタンナイズされた作品で、ほっとすると同時に老婆心も働く作品である。一歩。僭越ながら。