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堀井拓馬 『臨界シンドローム 不条心理カウンセラー・雪丸十門診療奇談』

臨界シンドローム 不条心理カウンセラー・雪丸十門診療奇談 (角川ホラー文庫)
3編から成る連作短編集。
ラノベ風のイラストと、マッドサイエンティストのような主人公の極端なキャラクター描写。売れ線に寄せて来た感はあるが、「不条心理」なる言葉で定義する人間の異様な心理描写や、時折思い出したように吹き出すねちっこく独特な文章表現から、著者の根本が変化した訳ではないことが解る。短編集ながら1つの物語としてもまとまり方向性を示し、シリーズ化できそうな要素も残す。次作に期待して待ちたい。