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小林泰三 『記憶破断者』

記憶破断者
主人公・田村二吉は前向性健忘症で、30分以上記憶を保持できない。実は著者の作品では『奇憶』『忌憶』などでお馴染みの登場人物。本作では人の記憶を改変する凶悪犯罪者と二吉の戦い等が描かれる。
小林泰三のミステリは設定の使いこなしが非常に巧妙で、本作では記憶に関するルールを上手く活用している。実際の前向性健忘症患者の思考が本作のように都合よく?消えたりするのかは良く分からないが、とにかくエンタテインメントとして面白い作品に仕上がっている。埒のあかない回りくどい会話と、不穏な気分の悪さも健在。ヤスミン節待った無し。