書は言を尽くさず、

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山白朝子 『エムブリヲ奇譚』

エムブリヲ奇譚 (幽ブックス)
『幽』連載作品を9編収録。
「旅本」書きの和泉蠟庵と荷物持ちの耳彦の、不思議な旅道中。人外あり、鬼畜あり、卑劣漢ありの怪談ホラー。
この作家は決して多くない文章量で読み手の心を揺さぶるのが本当に巧い。最初の2作(表題作と「ラピスラズリ幻想」)が最たるもので、導入として完璧に近い。精神的にも肉体的にもズタズタにされてしまうが存外タフな耳彦という人物にも魅力を感じる。続編も楽しみにしたい。